7月29日に開催されたイメージ&ジェンダー研究会の懇親会の席で、研究者の吉良智子先生より以下の標題の書籍をお勧めいただきました。
なお、吉良先生は『女性画家たちの戦争』を2015年に平凡社から出版されており、山崎朋子氏著『手芸とジェンダー』は参考文献としてリストアップされています。
序論のメモを記載します。
●フェミニズムにまつわる議論の経緯
近代国民国家における女性役割
・1960年代~のフェミニズム運動と理論
「ジェンダー」に「社会的性差」という意味が与えられてきた。
・1970年代~「ラディカル・フェミニズム」
〇ジュリエット・ミッチェル
家父長制と資本制が相互関係にあり、男性による女性の支配という自律的なシステムが存在すると指摘
ミッチェル以降、家父長制と資本制の関係が議論の中心に
〇マリア・ミース『世界システムと女性』
「資本主義的家父長制」
資本主義は家父長制に基づく支配関係を前提として「発展」すること
女性と土地=天然資源・生産手段
・1980年代~フェミニズム理論
〇シモーヌ・ド・ヴォワール『第二の性』
「ジェンダー」…社会的・文化的性差 「セックス」…生物学的性差
男性…主体/女性…客体
・1990年代~男/女の生物学的性差を疑問視
〇ジョーン・スコット『ジェンダーと歴史学』1992年
男/女がもはやジェンダー化されたものであると指摘
〇ジュディス・バトラー『ジェンダートラブル・フェミニズムとアイデンティティの攪乱』1992年
〇ケイト・ミレット『性の政治学』1985
年齢と生による二重の支配制度が家父長制にはあり、男女関係を支配と従属の関係の事例であると指摘
〇シュラミス・ファイアストーン『性の弁証法』1972
・近年の研究
〇西川祐子『近代国家と家族モデル』
国民国家は男性を国民とした男性家長の集合体と指摘
〇フィリップ・アリエス『<子供>の誕生』
歴史的存在としての「近代家族」を相対化
<国家における女性役割と女性の国民化に関する研究>
〇牟田和穂『戦争としての女』
〇小山静子『良妻賢母という規範』
「良妻賢母」の普及…近代西欧思想として提唱された
〇若松みどり
皇后は女性の道徳的規範と指摘
天皇と皇后をそれぞれのモデルに国民化の過程を辿る
産業構造における女性労働
「再生産」…マルクス主義下の用語。フェミニズム理論の中では生殖と育児の意味で用い
られてきた。
P.17 女性労働は家父長制と資本制におて二重に搾取・領有されている。
<近代「家族」の成立に伴う現象>
男性 ⇔ 女性
生産労働 再生産労働
公的領域 私的領域
公共性 家内的